弘法さん
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春分の日の今日、久しぶりにお出かけして、京都は東寺の弘法さんに行ってきた。
目的は、磯野昭子の蜻蛉玉。きばがもう何年も前から、欲しがっていた硝子細工だ。ひぐやぐりの出産&育児で忙しく、とてもじゃないが弘法さんのように人で溢れかえる所へのお出かけは…とずっと控えてきたのだが、ようやく半日くらいなら連れ出しても問題なさそうという目処も付き、本当に久しぶりに家族四人で、純粋な"お出かけ"を楽しんできた。
春めいた暖かな日、風も穏やかで天気も良く、まさにお出かけにはうってつけの春分の日であった所為もあるだろうが、何より祝日の弘法さんである。ものすごい人の山。勿論ゆっくり見て回るなんて出来やしない。JR京都駅から最も近い東門から入ることを諦めて、南門まで回ることにした。磯野昭子さんの出店場所には、南門が一番近かったからである。東寺境内の外にまで出店している露店を冷やかす人々でごった返し、流れの滞る路上を何とか切り抜け、南門を入ると、果たしてすぐそこに磯野昭子さんが店を出していた。
普通の蜻蛉玉も充分に綺麗だったのだが、お目当ては蛙シリーズである。代表作品集の上部にあるような、のっぺりとしてテラッとした蛙が、蜻蛉玉を抱いている作品。これがきばはいたくお気に入りで、いつか入手したい…と望み続け、以前訪問したときには見つけられず終いだった蜻蛉玉。どうやら前回は違う店だったらしい。今回はちゃんとウェブで確認してから来たので、迷わず見つけられたその店の一角に、それらは並べられていた。一気に上がるボルテージ。先客が居たのでその人の購入待ちだったのだが、その間も他の客がやって来ては手を伸ばして商品を見ていくので、目を付けた品が取られやしないかと気が気じゃなかった。 最初に目を付けた品は、分かりやすい蛙のデザインのもの。これの大きいのがあったのだが、それはその先客に取られてしまった。同じデザインの小さいのもあったのだが、ちょっとなぁ…と思いながら他の蜻蛉玉を見ていたら、その色に吸い込まれそうになる物を見つけた。タイトルは、同じ『蛙、海のカケラを抱く』。でも、蛙が透明なバージョン。青い透明な硝子で蛙が作られていて、まさに海そのものを思わせるような…キレイな一品だった。即決断、即購入。28,000円。これを高いと見るか安いと見るかは人それぞれかも知れないが、この作り込みの美しさに払う金額としては、安いくらいと感じる、そんな逸品だと思った。
目的を達成したからには、こんな人混みには用はない…とばかりに東寺を後にした我々。とは言え、外を回れば良かったのだが、つい目的達成の嬉しさに(と言うか路上の混みようが嫌だったので)「最短ルートを通ろう」という選択をしてしまい、その後混雑の極みに達した東寺境内で右往左往したり、帰ってきて昼食用にと訪れた近鉄百貨店の北海道物産展での寿司屋の対応のとろくささ加減にブチ切れたりもしたのだが、そんなダークな思い出は、帰宅後改めてしげしげと眺めた蜻蛉玉の美しさにかき消され…実に良い買い物をした、疲れたけど達成感のある一日だった。
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